東京薬科大学 学校案内 2013 page 67/108
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生命科学部S c h o o l o f L i f e S c i e n c e sTokyo University of Pharmacy and Life Sciences 66生命医科学科 ウイルスは本来、人間に病気を引き起こす厄介な存在ですが、その感染増殖力を逆手にとることに....
生命科学部S c h o o l o f L i f e S c i e n c e sTokyo University of Pharmacy and Life Sciences 66生命医科学科 ウイルスは本来、人間に病気を引き起こす厄介な存在ですが、その感染増殖力を逆手にとることにより、がんなどの難病を治療するための薬にもなるということをご存知ですか? 腫瘍医科学研究室では、遺伝子工学の技術を駆使してヘルペスウイルスを改造することにより、ウイルスをがん細胞だけに感染させるシステムの構築に取り組み、すでに有望な研究成果を得ています。 ウイルスが細胞内に侵入するためには、ウイルス表面の糖タンパクが細胞側の受容体に結合することが必要です。この糖タンパクが本来の受容体には結合せずに、がん細胞に多く発現する分子のみに結合できるよう遺伝子操作を施します。このように改造したウイルスを標的化ウイルスと呼びます。 この標的化ウイルスを難治性のがんの症例に投与し、全身に転移したがん細胞をウイルスが探し出して選択的に感染増殖することによりがんを死滅させる―これが私たちの目指す新しい治療法です。世界初のがん治療法の開発に、ここ東薬で、私たちと一緒に挑戦してみませんか?標的化ヘルペスウイルスでがんを狙い撃ち研究トピックスヘルペスウイルス表面の糖タンパクを改造する。本来のウイルス受容体を介する感染経路を遮断した(左側)上で、単鎖抗体が認識するがん抗原を介する新たな感染経路を可能とする(右側)ことにより、がん細胞だけをウイルス増殖で破壊する。がん標的化のストラテジー分裂期は1個の細胞が2個の娘細胞に分かれる時期で、倍加させた染色体(遺伝子)を正確に二分して娘細胞に継承させる重要な過程です。また癌細胞では染色体数の異常が認められ、これが癌化の一つのステップになっていると考えられています。当研究室では、これらの過程を分子レベルで研究しています。新宿にある東京医科大学においても卒業研究が行えます。東京医科大学の教員が行う「生命医科学特講」で興味を持った研究室で、医療現場を身近に感じながら病態解明から治療法開発まで幅広い医学研究が行えます。受入予定講座は、薬理学、分子病理学、組織・神経解剖学、免疫学、神経生理学、微生物学、医学総合研究所などです。遺伝子を正確に娘細胞に伝える仕組みを探る医療現場を身近に教 授 田中 弘文(歯学博士)助 教 橋本 吉民(理学博士)細胞制御医科学研究室東京医科大学(姉妹校)長谷川 晶紀 さん私立城西川越高等学校出身 受験した当時、生命科学を学べる大学はそれほどありませんでした。理系分野を幅広く学びたかった私にとって、3年の進級時に生命医科学コースを選択できることや、微生物分野から宇宙分野まで扱う研究室があったことが、東薬を志望した理由です。 実際、3年後期に履修した解剖医科学の授業で初めて医学というものに触れ、体と病気の関連を学ぶうちに、現在在籍している心血管医科学研究室に行きたいと考えるようになりました。ここで病気の成り立ちとその治療法を学びながら、実際に手を動かして研究する時間はとても有意義です。微生物分野から宇宙分野まで選択肢の広さが魅力生命科学部 分子生命科学科年(現在生命科学研究科修士課程1年)4分裂中期と終期における染色体、微小管、分裂期特異的キナーゼの細胞内での局在の様子細胞増殖がん染色体Keyword腫瘍医科学研究室内田 宏昭 准教授